11-04-10 「ちょーだい、ちょーだい」の心のブラックホール その2

(その1より)
ここまで、それはまるで女性だけの問題のように書いてきましたが、この「満たされなかった」と信じているものを「相手からむしりとる」という行為は男性も同じ。つまりみんなが持っているパターンです。

さて、こんな自己パターンに気づくためにはどうするのか?

まず自分が幼少時代「何を与えて欲しくて」「与えられなかったのか」を意識にのぼらせることにより、自分がどんな要求を強くもっているのかに気づくことが大切です。そのためにはよくワークショップで行うちょっとしたエクササイスが有効です。

【喪失体験をケアするワーク】

1, 親(あるいは、愛してほしかったのに愛がえられなかった相手)に対して手紙を書きます。
相手がすでに亡くなってしまっていてもかまいません。

2、まず相手への感謝の気持ちからはじめ、してほしかったけれどしてもらえなかったこと、あるいはえられなかったものなどについて書きます。
「お母さん、わたしをここまで育ててくれてありがとう。あなたとはたくさんの楽しい思い出があります。しかし、あなたはわたしをめったに褒めてくれませんでした。褒めるよりも、いつも指示されたり正されたりしていた気がします。だからわたしは自分がどこか欠陥があるのかと信じてきました。わたしはただそのままの自分を無条件に愛してほしかったのです。・・・云々」というように、語りかけるように書いてゆきます。

3, 書き上がったら、声に出して読みあげます。
これは自分の癒しのために書いているので、相手に渡すことはしません。もし信頼できる人がいたら自分の前に坐ってもらい、親のかわりに手紙を読むのを聞いてもらいます。一人で読んでもかまいません。声に出してください。

4,  読み終わったら、しばらく静かに自分の感情を感じます。
その頃の感情が再び甦ってきて涙が流れるかもしれません。感情、涙とともにいる時間を十分とってください。

5, 落ち着いたらふたたび手紙にもどり、そのなかに書かれている自分の要求(無条件に認めてほしかった、信頼してほしかったなど)に丸をつけます。
この手紙だと、「ああ、褒めてほしかったんだな〜」とか、「指示されたり正されるのではなくて、そのままの自分でいいと言ってほしかったんだな〜」と手にできなかったものに気づいてゆきます。

6, 自分の満たされなかった要求を、どのようにしたら自分で満たせるか考えます。
たとえば、親に「無条件に認めてほしかった」場合は、自分が自分に対してどれだけつらくあたっているか、否定しつづけているのかに気づきます。そしてきょうから失敗しても、理想の自分でなくても、明るく自分を認めることを自分に約束し、実行してゆきます。

おわかりのように、わたしたちは足りないものを外に調達しにゆこうと必死でしたが、結局外には見つけることができなかったのです。なぜなら、みんながみんな「足りない」と思っていて、人に真に与える余裕などないからです。すると親でさえも、自分のブラックホールを埋めるためにこどもを利用してしまいます(これ、意外によくあるパターンです。たとえば親から十分愛してもらえなかった穴埋めに、こどもを自立させず自分につなぎとめて依存させることで愛されてると感じようとするパターンなど・・・)。だから、自分のブラックホールは自分でリペアするしか方法がない、ということなのです。

どこがうまくいっていないかわからなければ、それをうまくいかせる方法は皆目検討がつきません。しかし、自分にはどんな穴があるのかがわかれば、まずそれだけでも他人にこっそりとその穴を埋めさせようとしてかなりのエネルギーを費やしている自分に気づくことができます。

実は心の世界でも、モノの世界でも、足りないものは外から調達することは出来ないのです。なぜなら、すべては自分の心のなかからはじまり、それが外へと広がってゆくからです。自分が見ている世界は、すべて自分の心の中の世界なのですね。だから、「愛」にしても「豊かさ」にしても「幸せ」にしても、外からやってくるのを手ぐすねひいて待つのではなく、「自給自足」の心意気を持たなければなりません。自分でちゃんと面倒をみてあげなければならないのです。

それには、まず自分の心の欠乏、要求に、自分がちゃんと寄りそうことからはじめてみることをおススメいたします。(^_^)v