13-11-28 赤ちゃんが欲しいのに・・・悩みの本当の理由は?

赤ちゃんが欲しくて、永らく不妊治療を続けていらっしゃるA美さん。どうしてもあきらめきれず、年齢を考えながらもその精神的なつらさと身体的な痛みに耐えながらの治療・・・でも、落胆の連続・・・。ずっと、そのお姿を拝見し、また応援させていただいてきました。

今回のご相談は、「自分が今や何を感じているのか、この先どうしたいのか、わからなくなってしまった・・・」ということ。

じつは最近、体温の高温期が続き「もしや・・・!!」という期待を抱かれた時期があったそうです。でも、すぐにそれは間違いであることがわかりました。A美さんいわく、「勝手に想像妊娠しちゃうなんて・・・。そんな自分がいやなんです。やっと、どうでもいいと思えていたのに」と肩を落とします。

今は、子どもが欲しいのかさえもわからないし、どんな気持ちでいていいのかもわからない・・・と。そして、そんな自分を責めているご様子。

A美さん、「どんな気持ちでいるべきか」よりも、今、自分が抱えている気持ちをまずちゃんと感じてあげなくちゃね。そうしたら、自然と次が見えてくるはずです。

A美さんに「本当にいつも赤ちゃんのことで心を痛めて、その上治療でたくさんの苦痛を味わって、それでも一生懸命続けてきたのだもの。がっかりしてあたりまえ。悲しくってあたりまえ。そういうふうに感じてあたりまえだよね」と声をかけると、A美さんの目からみるみる涙が溢れて、それは30分ほど続きました。(家ではぜんぜん泣けなかったというA美さん。きっと、感じちゃったら大変なことになりそうで、無意識に気持ちを押さえ込んでいたのでしょうね。)

「今、泣いているA美ちゃんの隣に、もう一人の自分が見守っていたらどんなかな?」と声をかけると、「隣に寄りそっていてくれている」とA美さん。「そうだね。頑張ってきたから、たくさん泣いていいんだよって言ってるよね」

もう一人の自分に見守られながら、ひとしきり涙を流したA美さん。そこで、わたしがふとひらめいたことがあったので質問してみました。

「自分の子どもじゃなくても欲しいのかな?赤ちゃん。それとも・・・もしかすると・・・赤ちゃんが大切なのではなくって、赤ちゃんを通して手に入る何か別のことを望んでいるのかな?・・・たとえば、だんなさんにもっと注目してもらったり、認めてもらったりすることとか・・・」

するとA美さん、「そう!そう!そうです!まさに認めてもらうこと。・・・わたし、赤ちゃんがいてこそ一人まえ、ってずっと思っていました。そうしたら認められるって・・・ああ、だから赤ちゃんが欲しかった。認められたかったんです。・・・そうです。すっきりしました」と。

さらにうかがってみると、幼い頃、A美さんのお母さまが「あなたってお父さんにそっくりだわ」とよく口にしていたそう。「もしや、ご両親、夫婦仲が悪かったのでは?」とうかがうと、「そうです。母は、父を認めていなかった」とA美さん。「そうなんですね。お父さんに似ているから、お母さんはA美さんを認めていないってずっと信じてきたんですね。ということは、近しい人、だんなさんも自分を認めていないと思ってるんだ」「はい、彼は子どもはいなくていい、って言ってくれているのに、受け入れられなかった」とA美さん。

なるほど〜。「お父さん似=大切な人には認められない」と深い意識にインプットされてしまい、A美さんなりの解決策は何が何でも母になること。つまり、自分が考える一人前になることだったのです。

結局、「赤ちゃんができない苦しみ」のご相談の本当のテーマは、「認められること」だったわけです。

でもね。A美さん、まず自分を自分がちゃ〜んと認めてあげなくちゃ。そうしたら、人が自分を認めるかなんて、けっこうどうでもよくなるかもしれません。自分を認めるためには、今日やったように、自分が感じていることをちゃんと感じるように、自分に許してあげること。しっかりと自分の感情を受けとめること。自分にやさしくしてあげましょうね。

セラピーの最後には、「わたしは自分を認めている」「人からの愛情も無条件に受け入れている」という新しい信念をインプットして終了したのでした。

さっきまで言えなかった言葉、「わたしは赤ちゃんがいなくてもいい」を今は言うことができます!とA美さん。

今後、赤ちゃんがまた欲しくなっても、きっとちょっと違った心の余裕が出てくるかもしれませんね。

(ご本人のご了解をいただいたうえで、ブログにさせていただいています。)

 

 

「気づきの日記」バックナンバーはこちら 古川 貴子/心理療法家・ヒプノセラピスト)