16-07-15 ヒプノ(催眠)にかかる?かからない?

先日、映画を観ていたとき、それはとっても静かなストーリーだったのですが、話しの展開にはそぐわない地鳴りのような音がしたり、地震かと思うような揺れを感じたりするのです。

最初はほんとうに地震かと思ったのですが、あまりにも回数が多すぎる。 ・・・ どうやらすぐ隣にあるシアターで4D映画の上映をしていたようで、あれって、映像にあわせて椅子が揺れたり、ミストが噴射されたり、匂いもついてるらしいのです。臨場感満載!

たしか、ディズニーランドだったか、ユニバーサルスタジオだったかに、そんなのあったっけな〜。坐っているだけなのに、急降下したり、高速で飛び回ったり、地底を突き進んだり・・・。危機一髪な場面がいっぱいあったけど、不死身のように死なずに生還いたしました。(ああ、不死身ってこんな感じか〜と思いましたよ・笑)。

でも、あまりのスピードと揺れに途中思わず酔いそうになって、目をつぶってしまいました。そうしたら・・・ あれ? ただ椅子が揺れてるだけか〜。なんにも起ってないじゃないか・・・ なんて、妙にクールになって、こども騙しっぽく感じられましたよ。なにひとつ怖いことなんて起ってないじゃな〜い(笑)。

知覚のトリックって、かんたんに欺かれます。

しかし、まさかね、わたしたちも毎日、こんなアトラクションに乗ってるとは思わないですよね〜!(笑)毎日ですよ〜!飽きることなく。(笑)

どういうことかというと、

もし ・・・「 わたしはドアを明けて外に出る」と思っているときに、自分は1ミリも動いていないのにドアが自分の方に近づいてきて、勝手に開くと外が広がっていて、立ってるだけなけなのに周りの景色がどんどん後ろに流れていったとしたら。そのうえ、歩いているような震動を感じたり、頬をなでる風とか、陽射しのような暖かさを感じたとしたら・・・ きっと自分は外に出て歩いているって思うかもしれません。でも1ミリも動いていない ・・・。

そして朝になって、またまた1ミリも動かずここにいるのに、ベッドから起き上がったような映像、つまり90度ぐらい部屋の映像が回転して、そして部屋の景色が自分の横を流れ、目の前で朝食作りの場面が展開され、そして仕事場ではたくさんの人たちがいて動きまわっているように見えたり 。あるいは、上司なる人が自分のまえで怒鳴っているように見えたり・・・ などなど。けれど、依然として1ミリも動いていなくって、そのうえもしかしたら、まったく時間も流れていないのかも・・・。時間も空間も止まってる。

わたしたちは知覚によって、いろんなことをごまかされています。壮大なるイリュージョンのなかで生きているともいえるのです。

ほんとうは、何も起っていない?! (全部錯覚?  アトラクションの中?)

でも、イリュージョンが楽しいうちは、まあいっか!という感じです。夢のようなものをいっぱい見せてくれるうちは、別に変える必要もなし!

でもね、そうもいかないのです。なぜかイリュージョンは、だんだんホラーになってくるのですよ〜。容赦なく。 ・・・ あるいは、ちょっと楽しい映像で喜ばせて、そのあとは手いたい仕打ちがくるとか。でも人はまた「きっとよくなるはず」と期待して待っているので、待つことをやめない限りはなかなかこの「苦楽」の循環から抜け出すことができないのです。

わたしはヒプノセラピストなので、お仕事のセッション中、日々催眠を使います。(といっても、テレビのショーのような催眠術ではありません。ヒプノセラピーとは、深いリラクゼーションを使ったセラピーのこと。)

で、クライエントさんは「わたしって、催眠にかかるでしょうか?」とよく質問されるのです。

ショーのように、いきなり犬になっちゃったり、平気で恥ずかしいことをしちゃったりするようなそんな場面を想像するのなら、わたしは「そうなるのか」「ならないのか」という疑問はあると思うのですが、実際のセラピーとしての催眠虜法(ヒプノセラピー)は違うものです。まったくリラックスできない人がいないのと同じように、それが「できる」とか「できない」というものではないのですね。もっと自然です。ただくつろいでいる状態だけで十分です。

でも、こんなふうに答えたくなるときがあります。

「大丈夫です! だって、世の中のみんなはすでに催眠状態なんですもの。だから、すでにかかっている人にこれ以上かけることなんかできないのです。ヒプノセラピーをするというのは、どちらかというとその “すでにかかっちゃっているココロの催眠をとく” ことといえるのです。ただココロを正気に戻してあげることなので、なにもコワくないし、心配もいらないのですよ」と。

ほんとにほんとに冷静に調べてみると、わたしたちはどうやら正気じゃないようなのです。4D映画に没頭しているか、あのアトラクションに乗りっぱなし・・・。降りられな〜い(泣)。

ありもしなかった架空のストーリーに執着し、なんの根拠もない自分のアイデンティティを気に病み、その他あれやこれやでどんどんでっち上げがふくらみ、もはやほんとうのことがわかりません。バーチャルな世界にひたりきっています。

だからヒプノセラピスとのお仕事は、壮大なイリュージョンという催眠からさますこと、解放されるようにすること、それがほんとうのお仕事なのです。

ヒプノセラピストとは、「催眠をかける人」ではなくって、ねむったココロという「催眠をとく人」。さまざまなアイデンティティや信念、観念、思考、ストーリー、記憶、過去、未来、身体、世界・・・などという催眠から。

だからヒプノセラピーを受けるときには、「かかる?」「かからない?」なんて、まったく心配する必要がありません。ほんとうに!

それよりも、わたしって「目覚める?」「気づける?」ということのほうが気になることなのかもしれません。  (○´―`)ゞ

 


「気づきの日記」バックナンバーはこちら: 古川 貴子ヒプノセラピーカウンセリング