23-04-19 1960〜70年代の作品から

古川貴子のブログ、ヒプノセラピー/カウンセリング

タイトルはよく耳にしたことはあるものの、一度も観たことがない1960〜70年代の作品をいくつか鑑賞してみました。

 

☆「ドクトル・ジバゴ」☆

ロシア革命の時代、医師であり詩人としても有名だったジバゴの少年期から生涯を終えるまでを描いた三時間ごえの壮大なストーリー。デヴィッド・リーン監督の作品です。

この作品のほかにも、当時は「ベンハー」とか「風とともに去りぬ」とか三時間ごえの作品がたくさんあったようです。名画座系でリバイバルを観に行くときには、いつもお弁当必携でした。

ソビエト、ロシアというと暗いイメージしか湧きませんが、この作品を観ているとロシアもかつてのフランスのように上流階級が贅をつくす華やかな時代があったのですね。

歴史の波にもまれながら二人の女性のあいだで揺れるジバゴですが、どちらの女性も寛容に受け入れているのは動乱の時代も関係しているのでしょうか?

1966年の作品なので特撮やCGが使われていない分、どの場面もひとつづつ手で作りあげた重みがあり、まるで絵画のような美しさがあります。昨今の作品で使われるCGは何でもできてしまうけれど、この画面の力には及ばないと感じました。

見応えがあります。お時間のあるときにじっくりどうぞ。

☆「ディア・ハンター」☆

ワークショップやセラピーセッションのときにカバティーナというギター曲を使うことがあります。この映画の挿入曲であることは知っていたのですが、作品自体がどのような内容かは知りませんでした。

「ディア・ハンター」のディアは、てっきり dear(親愛なる)だとばかり思っていたのですが deer (鹿)のディアだったのでした。

製鋼所で働き、お酒を飲んで騒ぐことと休日の鹿狩りをささやかな楽しみにしていた若者たちが、やがてベトナムへと出征し、戦地で過酷な体験をし、なんとか生きのびて戦争から戻るまでを描いた物語です。

彼らが捕虜として囚われたときに、ロシアンルーレットを強要される場面があります。

ロシアンルーレットといえば、バラエティー番組に登場するわさびもりもりのお寿司ぐらいしかイメージがなかったのですが、まさか自分のアタマに拳銃をつきつけて発砲するゲームだったとは・・・まさに戦慄の場面でした。ロバート・デ・ニーロの迫真の演技でさらに凍りつきました。

デ・ニーロは、私が映画観るようになったときにはすでにオジサマlook だったのですが、若い頃はこんなに精悍な雰囲気だったのですね。メリル・ストリープも存在感があり、やはり目をひきます。

そして、このストーリーに静かに流れるカバティーナ・・・ さらにやるせない気持ちにさせられるのでした。

鑑賞に少し体力のいる作品でした。

 

☆「秋刀魚の味」☆

小津さんの作品がお好きなお友だちのオススメです。

小津安二郎監督の作品は、どれも自然でふつーで、映画だということを忘れてしまうような日常の空気感が好きです。

そして、当時のふつうの人々のふつうの生活をそのまま感じられるのもとても興味がひかれます。

男性がもっと威張っているかと思いきや、どこの家庭も女性がメッチャ強くて凛々しくてびっくり。

二十代の岩下志麻さんは、啖呵を・・・きっていません。初々しくて美しいです。さらにここから半世紀もの時をへて、今もなおメチャクチャおきれいな志麻さんはあっぱれです。

小津監督の作品はどれものどかで癒されます。ずっと観ていたくなります。

ところで、タイトルは「秋刀魚の味」ですが、どこにも秋刀魚は登場いたしませんでした。苦みがあるけれどおいしい秋刀魚。そんな人生のことでしょうか??