2000年06月18日 パルコ劇場アリ地獄篇

 美輪明宏さんの~愛の賛歌エディット・ピアフ物語~を観てきた。別にファンではない。パルコ劇場最前列ド真中というシチュエーションにに惹かれて、怖いもの見たさ(?)で出かけた。

 銀巴里時代からの金子由香利さんでならした私には、美輪さんはちょっ~と濃すぎる。

 一曲目からすでに、たくましい喉仏を震わせてパワー全開。それも、目と鼻の先2~3メートルという至近距離で、歌い踊り迫りくる。私からは美輪さんしか目に入らない、というまさにマンツーマン状態。あまりのことに、まったく目が離せない。

 ピアフの恋人役の面々はみな端正な顔立ちのおそろしく足のなが~い美男ばかり。(もしや、シークレットブーツ?!)とりわけ21歳年下の夫役のテオ君は、「よくぞ探した!」といわんばかりの初々しい美青年。(このへんの美意識はおおいに共感いたします)そして、しっかりKiss シーンもあり。

 前半は、「どひゃ~、これってゲテモ○!ちょっとこわすぎ!」「ここまでしなくても・・・」と固唾をのんでいた私が、どうしたことか後半はアリ地獄のごとく美輪ワールドにズリズリ引きずり込まれて、おもうツボ。いつのまにか「う、う、うつしい・・・」とため息がでる始末。しまいには、野太い声も何のその、感激の涙さえ出てくる。美輪さんが観音様のように荘厳で気高く光り輝き、おもわず合掌したくなってしまった。

 そ~かあ!これが三島由紀夫や寺山修二をとりこにした彼の才能なのねっ。

 美輪さんの舞台を観て「美しさ」ということの神髄について考えさせられた。人を惹きつけてやまないものって、うわべだけの美しさではない!と妙に納得し希望がわいてきた反面、じゃあどーしたらいいの?と途方にくれる。究極の美って、じつは紙一重のアブナイものなのかもしれない。そして、麻薬のように耽溺性あり。

 テオ君よ、この数週間の興業のあいだにアリ地獄にはまるでないぞよ!もう、遅い!?

 そうそう、最前列のもう一つの怖ろしさ。それは、もくもくスモーク攻撃。一難去ってまた一難、まるで津波のように襲いかかってくる。文字どおり、煙に巻かれて何も見えない。あまりの凄さにシッポがでそうでした。